家族の話し方レシピ

会話が減ったと感じたら 熟年夫婦の心を繋ぐ「問いかけ」と「聴き方」

Tags: 熟年夫婦, コミュニケーション, 会話, 話し方, 聴き方

熟年夫婦の間に生まれた「沈黙の時間」に寄り添う

お子様が独立され、夫婦二人きりの時間が増えたというご家庭は少なくないでしょう。これまでの慌ただしかった日々が落ち着き、ゆったりとした時間を持てるようになった方もいらっしゃるかもしれません。一方で、共に過ごす時間が増えたはずなのに、かえって夫婦間の会話が減ってしまった、あるいは必要最低限の事務的な会話しかなくなってしまった、と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

長年連れ添った関係だからこそ、「言わなくても分かるだろう」「今さら話すことなんてない」と感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、こうした会話の減少が、お互いの気持ちのすれ違いや、ほんの少しの寂しさにつながる可能性も考えられます。これからの人生を共に心地よく過ごすためにも、改めて夫婦のコミュニケーションについて考えてみることは大切な一歩となります。

ここでは、熟年夫婦が経験しやすい会話の課題に焦点を当て、日常に再び心地よい言葉のやりとりを取り戻すための「問いかけ」と「聴き方」のヒントをお伝えします。

なぜ、会話は減ってしまうのか?

夫婦の間に会話が減ってしまう理由はいくつか考えられます。

これらの理由が複合的に絡み合い、夫婦の間に自然と「沈黙の時間」が増えてしまうことがあります。しかし、これは特別なことではなく、多くのご夫婦が経験し得る状況です。大切なのは、この状況を悲観するだけでなく、「これからどうしたいか」という視点を持つことです。

心地よい会話を取り戻すための第一歩:「問いかけ」

会話を始めるきっかけとして有効なのが「問いかけ」です。ここでいう「問いかけ」は、相手を試すようなものや、詰問するようなものではありません。相手に関心を持ち、相手が無理なく自分の内側にあるものを言葉にできるような、穏やかで開かれた問いかけです。

例えば、以下のような問いかけは、会話の糸口になりやすいかもしれません。

問いかけのポイント:

これらの「問いかけ」は、普段の挨拶や家事の合間、食卓など、日常の様々な場面で試すことができます。

「聴き方」で会話を育む

問いかけと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが「聴き方」です。相手が安心して話せるかどうかは、聴き手の態度に大きく左右されます。

心地よい会話を育むための「聴き方」のヒントをいくつかご紹介します。

聴き方のポイント:

小さな積み重ねが、新たな風を運ぶ

会話が減ってしまった状況は、決して一日で改善されるものではありません。また、これらの「問いかけ」や「聴き方」を試しても、すぐに劇的な変化が見られるとは限りません。大切なのは、完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ、継続してみることです。

例えば、一日に一度、お互いに今日の出来事で一番小さな「へえ」と思ったことを話してみる時間を持つ、というような、ご夫婦にとって無理のない、小さな習慣から始めてみるのも良いでしょう。

また、会話は言葉だけではありません。一緒にいる空間で穏やかに過ごす時間、お互いを気遣う態度、感謝の気持ちを伝えることなども、大切なコミュニケーションの一部です。

「問いかけ」と「聴き方」を意識することは、お互いへの関心を再確認し、長年の関係性の中に新たな風を吹き込むきっかけになるかもしれません。これから先の人生を、より心地よく、心通わせながら歩んでいくためのヒントとして、ぜひ参考にしていただけたら幸いです。